法定された証拠調べ手続によらないで行われる証明
□本証
証明責任を負う当事者の提出する証拠,またはこの者の立証活動
□反証
証明責任を負わない当事者の提出する証拠,またはこの者の立証活動
□自由心証主義
裁判における事実の認定を,裁判官が審理に現われたすべての資料・状況に基づいて自由な判断によって形成する心証に委ねる建前
□証拠方法の無制限
あらゆる人または物が証拠方法となりうること
□証拠力の自由評価
証拠の証拠力の評価は,裁判官の自由な判断に任されること
□証拠共通の原則
当事者の一方が提出した証拠は,相手方が援用しなくても,相手方の有利な事実の認定に用いてよいという原則
□証明責任
訴訟において,裁判所がある事実の存否につき真偽不明の場合に,その事実を要件とする自己に有利な法律効果の発生が認められない一方の当事者の不利益
□事実上の推定
裁判官の自由心証の一作用として,経験則を用いて事実上行われる推定
□表見証明(一応の推定)
高度の蓋然性をもつ経験則に基づく事実上の推定
□法律上の推定
経験則があらかじめ法規化され,法規の適用という形で行われる推定
□暫定真実
前提事実の証明さえ要求しないで無条件に一定の事実を推定することによって,ある規定の要件事実の証明責任を相手方に転換する法技術
□間接反証
ある主要事実Aについて証明責任を負う者が,これを推認させるに十分な間接事実の存在を証明した場合に,相手方が右の間接事実とは別個のしかもこれと両立しうる間接事実を立証することによって,主要事実の推認
を妨げる立証活動
□裁判上の自白
口頭弁論期日または争点整理手続期日において,相手方の主張する自己に不利益な事実を認める旨の弁論としての陳述
□権利自白
訴訟物たる権利関係の前提をなす先決的な権利関係を認める陳述
□訴えの取下げ
原告による審判要求を徹回する旨の裁判所に対する意思表示
□請求の放棄
原告が請求に理由なしと認める旨の裁判所に対する意思表示
□請求の認諾
被告が請求に正当な理由があると認める旨の裁判所に対する意思表示
□訴訟上の和解
当事者がその主張を互いに譲歩して訴訟を終了させる旨の期日における合意
□裁判
裁判機関がその判断又は意思を法定の形式で表示する訴訟行為
□判決
当事者の申立てのうち重要な事項に対する裁判所の終局的な判断
□決定
裁判所がする訴訟指揮や訴訟手続上の付随事項に対する裁判
□命令
裁判長または受命裁判官・受託裁判官がその資格に基づいてする訴訟指揮や訴訟手続上の付随事項に対する裁判
□中間判決
訴訟の進行過程において当事者間で争点となった訴訟法上又は実体法上の事項につき,終局判決に先立って解決しておくための判決
□終局判決
係争中の事件の全部又は一部につき,その審級での審理を完結させる判決
□全部判決
同一訴訟手続で審理されている事件の全部を同時に完結させる終局判決
□一部判決
同一訴訟手続で審理されている事件の一部を他の部分と切り離して完結する終局判決
□追加判決
裁判所が無意識的に終局判決の主文で判断すべき事項の一部を脱落させてしまった場合(裁判の脱漏)に,その脱漏部分を完結させる終局判決
□訴訟判決
訴訟要件又は上訴の要件の欠缺を理由に,訴え又は上訴を不適法なものとして却下する終局判決
□本案判決
訴えによる請求の理由又は上訴による不服申立ての理由があるか否かを判断する終局判決
□自己拘束力
いったん判決が言い渡されて成立するとその判決をした裁判所はその判決の撤回や変更ができなくなること
□判決の更正
判決書の表現上の誤りを訂正すること
□判決の変更
判決をした裁判所が自ら法令に違背したことを発見してその判決内容を変更すること
□羈束力
判決が当該事件の手続内において他の裁判所を拘束すること
□形成力
形成判決の確定により新たな法律関係の発生・従来の法律関係の変更・消滅を生じさせる効力
□執行力
給付判決の確定によりその給付義務を強制執行手続で実現できる根拠となる効力
□参加的効力
被参加人が敗訴した場合に共同して訴訟追行し敗訴した者相互の責任分担原理である公平・禁反言に基づいて参加人・被参加人間に認められる効力
□法律要件的効力
確定判決が実体法において法律要件とされておりそのため判決により法的効力が生じる場合の効力
□既判力
確定判決の主文中の判断について認められる,後訴における当事者及び裁判所に対する拘束力
□既判力の双面性
既判力は訴訟当事者にとって利益にも不利益にも作用すること
□遮断効
後訴において前訴の基準時前に存していた事由を基礎に基準時の訴訟物たる権利関係の存否を争えなくなること
□争点効
前訴で当事者が主要な論点として争い,かつ,裁判所がこれを審理して下したその争点においての判断に生ずる通用力で,同一の争点を主要な先決問題とした別異の後訴請求の審理において,その判断に反する主張立証を許さず,これと矛盾する判断を禁止する効力
□反射効
当事者間に既判力の拘束力のあることが,当事者と特殊な関係にある第三者にも,反射的に有利または不利な影響を及ぼすという効力
□(固有の訴えの)客観的併合
一人の原告が一人の被告に対し当初から一つの訴えをもって複数の請求をする場合
□単純併合
相互に両立しうる数個の請求を並列的に併合しそのすべてについて審判を求める場合
□選択的併合
同一の目的を有し,法律上両立しうる数個の請求をその一つが認容されることを解除条件にして他の請求を併合する場合
□予備的併合
法律上両立し得ない数個の請求に順位を付して第一次請求が認容されることを解除条件として第二次請求を併合する場合
□訴えの変更
原告が訴訟係属中に請求の趣旨または請求の原因を変更し同一被告に対する審判事項の同一性や範囲に変更を加えること
□中間確認の訴え
ある請求についての訴訟係属中にその請求の先決関係たる権利の存否についての確認を求める訴え
□反訴
被告が訴訟係属中にその訴訟手続きを利用して原告に提起する訴え
□通常共同訴訟
各人が単独で訴えまたは訴えられることができ,合一確定が要請されない共同訴訟
□必要的共同訴訟
判決が各共同訴訟ごとに区々になることが許されず,合一確定が要請される共同訴訟
□類似必要的共同訴訟
各人が単独で訴えられることも可能であるが,各共同訴訟人と相手方に訴訟が係属した以上,合一確定が要請される共同訴訟
□固有必要的共同訴訟
訴訟物についての利害関係人全員が,訴え又は訴えられなければ当事者適格が認められず,本案判決を得られない共同訴訟
□共同訴訟人独立の原則
通常共同訴訟において,各共同訴訟人は他の共同訴訟人の訴訟追行に制約されることなくそれぞれ独立に訴訟を追行しその効果を受ける原則
□主観的予備的併合
数人の又は数人に対する請求が,論理上両立し得ない関係にある場合に,共同訴訟の形態をとりつつ,それぞれの請求を順序づけて審判を申し立てる併合形態
□主観的追加的併合
訴訟の係属中に,第三者が自ら当事者として訴訟に加入したり,在来の当事者が第三者に対する訴えを追加的に併合提起することによる共同訴訟形態
□共同訴訟参加
(1)他人間の訴訟の判決効が拡張される地位にあり,(2)当事者適格を有する第三者が係属中の訴訟に参加する形態
□補助参加
訴訟係属中に,他人間の訴訟の結果について利害関係を有する第三者が当事者の一方を勝訴させることによって間接的に自己の利益を守るためその訴訟に参加する形態
□共同訴訟的補助参加
当事者間の訴訟の判決効がおよぶにもかかわらず,当事者適格が認められない第三者がなす補助参加
□訴訟告知
訴訟係属中に,当事者が,当該訴訟につき利害関係を有し参加しうる第三者に対して,訴訟係属の事実を法定の方式で通知すること
□独立当事者参加
他人間で係属中の訴訟につき利害関係を有する第三者が原告・被告双方にそれぞれ請求を立てて当事者として訴訟に参加し原告の請求と同時にかつ矛盾のない判決を求める参加形態
□訴訟脱退
第三者の独立当事者参加により従来の原告・被告のいずれかが訴訟を追行する必要がなくなった場合に,相手方当事者の同意を得て訴訟から脱退すること
□任意的当事者変更
訴訟係属後に,原告が当初の被告以外の者に訴えを向けかえ,あるいは当初の原告以外の者が原告にかわって訴えを提起する場合
□訴訟承継
訴訟係属中に実体関係が変動した結果,当事者の変更が生じ,新当事者が旧当事者の訴訟上の地位をそのまま承継する場合
□参加承継
訴訟係属中に当事者の一方と第三者との間で係争物につき特定承継の関係が認められる場合に承継人からの参加申立てにより訴訟当事者の地位の
承継が生じる場合
□引受承継
訴訟係属中に当事者の一方と第三者との間で係争物につき特定承継の関係が認められる場合に相手方当事者からの引受の申立てにより訴訟当事者
の地位の承継が生じる場合
□上訴不可分の原則
確定遮断,移審の効力の及ぶ対象の範囲は,上訴人の申し立てた不服の範囲に限らず,原裁判全体に及ぶこと
□不利益変更禁止の原則
(1)控訴人に不利益に原判決を変更することは,相手方の控訴・附帯控訴なき限り許されない,(2)控訴人が不服を申し立てていない部分は原判決よりも有利に変更することはできない