2009年07月23日

ぎょうせい 論点15

論点セレクト15

1.処分性(行政事件訴訟法3条2項)

 行政上の法令に基づくすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を画することが法律上認められているものをいう(最判昭39.10.29)。


@公権力主体性、 
A直接法効果性



2.原告適格(行政事件訴訟法9条1項、2項)

 「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。

 具体的には、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益をもっぱら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、かかる利益も右にいう法律上保護された利益にあたり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう(最判昭53.3.14)。

→ポイントは、9条2項の文言を使いこなせるかどうか。


3.国家賠償請求における違法性(国家賠償法1条)

 取消訴訟は公権力の行使に対して不服を申し立てる訴訟であるが、国家賠償請求訴訟はあくまで民事訴訟の一つとして金銭賠償を求めるにすぎず、両者は制度的に異なる。
 そこで、違法とは、公務員が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と行為をしたと認め得るような事情がある場合をいうものと解する(最判平5.3.11)。
→取消訴訟との違い



4.裁量権の逸脱・濫用(行政事件訴訟法30条)

<伝統的基準>
@事実誤認 Ex マクリーン
 「その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか」
A目的違反・動機違反
B信義則違反
C平等原則違反(憲法14条1項)
D比例原則違反
 「社会通念上著しく妥当性を欠くかどうか」

<判断過程基準>
@判断過程に着目して合理性を審査する方法
 「判断の過程に看過し難い過誤があり、これに依拠した場合に違法となる。」
A判断過程の合理性の審査
 他事考慮等


5.理由付記(行政手続法8条1項本文、14条1項本文)

 同上の趣旨は、@行政庁の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに、A拒否の理由を申請者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることにある。
 この趣旨から、付記すべき理由としては、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否処分がされたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならず、単に根拠規定を示すだけでは足りない(最判昭60.1.22)。
→理由の追加、理由の差替


6.重大かつ明白な瑕疵

 重大かつ明白な瑕疵というのは、処分の要件存在を肯定する処分庁の認定に重大・明白な瑕疵がある場合を指すものと解すべきである。そして、瑕疵が明白というのは、処分成立の当初から、誤認であることが外形上、客観的に明白である場合を指すものと解する。


7.違法性の承継

 行政上の法律関係は、早期に安定させる必要があるから、違法性の承継は認められないのが原則である。
 しかし、取消訴訟の排他的管轄に服する行為について、救済の余地を拡げる必要もある。
 そこで、@一つの手続ないし過程において複数の行為が連続している場合において、Aこれらの行為が結合して一つの法効果の発生を目指す場合に例外的に違法性の承継が認められると解する。


8.行政指導の限界(行政手続法32条、33条)

<建築確認留保の事案>
 許可あるいは確認申請に対して、行政庁が裁量権を有する場合、行政庁は行政指導に付随して処分を留保することができるか。
 思うに、行政活動が、社会の複雑化に伴って市民生活に深く介入せざるを得ない現代福祉国家にあっては、行政指導が要求される。
 そこで、@行政指導は、それに対する相手方の不服従の意思表示が真摯かつ明確なものであること、およびA相手方の不服従が社会通念上正義の観念に反するといえないという要件を具備する場合に違法になるものと解する。
 ※不作為の違法確認訴訟の事案では基準が異なる点に注意を要する。


<教育施設負担金の事案>
 強制にわたるなど事業主の任意性を損なうことがない限り、違法ということはできない(最判平5.2.18)。



9.行政代執行の可否(行政代執行法2条)

 代執行の要件 〜戒告、通知
@「他人が代わってなすことのできる」義務(代執行法2条)
 → 代替的作為義務
A「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認めるとき」



10.法規命令の限界

 法規命令を制定する行政機関は、法律に違反する命令を制定することはできない。
 そこで、委任の範囲を逸脱した法規命令は違法であると解する。


11.確認の利益 (行政事件訴訟法4条後段)

要件
 @対象選択の適否
 A方法選択の適否
→行政法では重要問題
 B即時確定の利益



12.情報公開法における適用除外(情報公開法5条)
※条文の読み方に注意

個人情報: 原則不開示(5条1号本文)
他の情報: 原則開示(5条2号)



13.公定力の限界

 意義: 行政行為はたとえ違法であっても、行政庁自らが職権により取消しまたは撤回する場合は別段、相手方等の争訟の提起に基づき行政庁または裁判所が取消の措置をとらない限り、一応有効に通用するとの効力をいう。
 → 取消訴訟の排他的管轄

<刑事事件との関係> 余目町公衆浴場事件
 違法な行政処分によって命ぜられた義務に違反したため行政刑罰を科する場合等に、刑事被告人は、当該行政行為が違法であることを抗弁として提出し、罪責を免れることができるかが問題となる。
 思うに、行政刑罰は、適法な行政命令への服従を強いる機能までも有するとみるべきではない。行政行為の公定力は、民事関係における仮の効力を承認するにすぎない。
 そこで、刑事法関係においては被告人は、処分の違法を立証すれば、その無効を主張するまでもなく刑罰を免れることができると解する。

<国家賠償請求との関係>
 行政行為の違法を主張して国家賠償請求をなす場合、行政行為をあらかじめ取消しておかなければならないか。
 思うに、公定力は、行政目的の円滑な実現と法的安定性の要請から、行政行為の効力を維持せしめるためのものであり、違法な行為を適法なものとして通用せしめるものではない。他方、国家賠償請求で問題となるのは、行政行為の違法性の有無であり、効力の有無ではない。
 そこで、行政行為の違法を主張して国家賠償請求をなす場合、行政行為をあらかじめ取消しておく必要はないと解する。



14.行政行為の撤回・取消

<行政行為の取消し>

 行政行為の取消しとは、有効に成立した行政行為について、その成立に瑕疵があることを理由として、その法律上の効力を失わしめるために行われる行政行為をいう。

 取消し原因がある場合、かような瑕疵は速やかに除去されるべきであるから、その取消しについて明示の法律上の根拠は必要でないと解する。

 もっとも、一度行政行為がなされると、それを基礎に新しく法律秩序が形成されていくので、これを取消してしまうと相手方私人及び関係者に不測の損害を与えるおそれがある。

 そこで、取消しによる公益上の必要性と、取消しによって侵害されるであろう私人の権利・利益間での総合的な利益衡量によって個別具体的に判断すべきと解する。


<行政行為の撤回>

 行政行為の撤回とは、行政行為の成立時に瑕疵がないとき、その後の事情により、その法律関係を存続させることが妥当でないということが生じたときに、この法律関係を消滅させる行政行為をいう。

 行政行為の公益適合性をまっとうする見地から、行政行為の撤回に法律上の根拠は不要であると解する。

 もっとも、一度行政行為がなされると、それを基礎に新しく法律秩序が形成されていくので、これを撤回してしまうと相手方私人及び関係者に不測の損害を与えるおそれがある。

 そこで、撤回による公益上の必要性と、取消しによって侵害されるであろう私人の権利・利益間での総合的な利益衡量によって個別具体的に判断すべきと解する。

 ※行政行為の撤回に際しては、原則として聴聞手続が必要であるという点に注意。
 ※両者はパラレルに思考すべし



15.信頼の原則

 信頼保護が認められるためには、@個別具体的措置、A実行活動、B客観的依存性、Cその他の事情を考慮して判断すべきと解するのが相当である。


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2009年07月22日

ぎょうせいえんしゅう42

【42】
〈1)A市市長は、Xに対して庁舎の一部を5年間の約束で食堂の経営のために使用することを許可した。ところが庁舎を建て替える必要が生じたので,許可を取り消した。その際,移転料等の補償はしたものの,許可による「使用権」そのものに対しては補償を全く考慮しなかった。しかし,Xはこれに対して不満で,「使用権」に対して無補償の許可取消しは違法無効であると主張し,利用していた部屋を明け渡そうとしなかった。
(2) そこで、A市市長は,存置物件の搬出に限って行政代執行法に基づく代執行手続を執ることにして戒告を行った。これに対してXは抗告訴訟を提起し,無効な許可取消しであるから,当然に戒告も違法無効であると主張し,また,たとえ許可取消しが無効でないにしても違法であることに違いはなく,その違法性は戒告処分に承継されるので,戒告も違法であると主張した。さらにXは,存置物件の搬出のみを取り上げ,しかもそれが代替的作為義務に属することを理由として,代執行手続を行うことはできないのであって,民事訴訟あるいは公法上の当事者訴訟で争うべきであると主張した。
(問1)上記(1)で,Xの主張は正当といえるか。
(問2)上記(2)で,Xが主張するように,もし許可取消しが違法とされる場合,その違法性は戒告に承継されるか。
(問3)上記(2)で,Xが主張するように,存置物件の搬出のみをねらったA市市長の代執行手続は不適法といえるか。A市は,民事訴訟又は公法上の当事者訴訟で明渡しを求めるべきかどうか。
〔素材は国T平成15年度選択問題〕


第42問 解答例
第1 問1
1 使用許可の取消し(地方自治法238の4\)に際し、「使用権」に対する補償が必要とするXの主張は正当か。「使用権」に対する補償の要否が問題となる。
2 ↓ この点
本問の「取消し」は、適法に与えられた使用許可の効力を後発的事情から,将来に向かって奪うものであり、講学上の撤回にあたる。
↓ そこで
撤回に際し、損失補償が必要かを検討する。
3(1) ↓ この点
撤回は、瑕疵なく成立した行為の効力を、後発的事情を理由として消滅させるものである。
↓ そして
撤回の原因が本人の帰責事由によらない場合、私的利益を公益のために−方的に奪うことになる。
↓ そうだとすれば
公用収用に準じて正当な補償が必要と考えるべきである。
↓ そして
(2) 本問の使用許可の取消しは、「庁舎を建て替える必要」という、Xの帰責事由によらない撤回であるので、正当な補償は必要である。
4 ↓ では
「使用権」に対する補償が必要な補償に含まれるか。
(1) ↓ この点
使用許可に際しては対価の支払いがないのが通常であり、また公用財産の目的外使用許可は地方自治法238条の4第9頂からも明らかなように、公益理由による取消しが予定された地位にすぎない。このことは、「使用権」に期間の定めがあったとしても、期間内に公益理由が生じれば取り消されることが予定されている以上、同様といえる、
↓ そこで
「使用権」に期間がある場合も、@対価の支払いがあり、それを償却するに足りないと認められる期間に撤回された場合や、A使用許可に際し別段の定めがある場合を除き、「使用権」そのものについては補償の対象とならないと考える。
(2) ↓ 本問では
@A市に対価が支払われたという事情もなくA使用許可に際し別段の定めもない。
↓ よって
「使用権」そのものについては、補償の対象ではない。
5 ↓ 以上より
Xの主張は正当とはいえない。

第2 問2
1 許可取消しの違法は、戒告に承継されるか。違法性の承継の可否が問題となる。
2(1) ↓ この点
行政目的の早期達成、行政上の法律関係の早期安定のため、行政行為には、不可争力がある(行政事件訴訟法14参照)。
↓ にもかかわらず
一般的に違法性の承継を認めると、先行処分の違法性を後行処分がある限りいつまでも争えることになり、不可争力を認め、取消訴訟の出訴期間を短くした法の趣旨を没却する。
↓ よって
行政行為の瑕疵はそれぞれ独立して判断されるべきであり、違法性の承継は原則として認められないと考えるべきである。
(2) ↓ もっとも
常に争えないとすると、先行処分の違法性を争いたい者に酷な場合もある。
↓ そこで
@先行行為と後行行為とが連続して一連の処分を構成し,Aこの一連の処分を経て初めて終局的な効果が生じる場合には違法性が承継されると考える。
3 ↓ これを本問についてみると
先行処分たる使用権の取消しはXの庁舎使用権を剥奪し、Xに庁舎の明渡義務を課す行為であり、後行行為たる戒告はXの明渡義務の履行を強制するための処分であり、まったく別個の目的を有し、両処分は@一連の手続とは、評価できない。
↓ よって
違法性は承継されない。

第3 問3
1 前段について
荷物搬出のための代執行は許されるか。
(1) ↓ この点
行政処分には自力執行力があるので、裁判所の判断を経ずに執行することができる。
↓ そして
代替的作為義務については、一般法たる行政代執行法により代執行が認められる。
↓ これは
人権侵害の恐れのもっとも少ない代執行の方法を原則的手段とすることで、行政目的の達成と権利保障の調和を図ったものである。
↓ とすれば
代替的作為義務である荷物の搬出について、代執行の方法をとることは適法とも思える。
(2) ↓ しかし
Xは荷物の搬出義務を負ってはいるが、それは庁舎明渡義務の付随責務にすぎない。主たる義務である明渡義務について強制執行できないにもかかわらず、付随義務たる荷物搬出義務の強制をすることは、実質的に見て法律上強制できない明渡義務を強制することになり、明渡義務の強制を否定している法の趣旨を没却する。
↓ そこで
荷物搬出義務の代執行の方法をとることはできないと考える。
(3) ↓ したがって
A市の代執行手続は不適法である。

2 後段について
A市は民事訴訟または公法上の当事者訴訟で明渡しを求めるべきか。
(1) ↓ まず
法律による自力執行ができない場合、行政上の義務履行確保のための訴訟を提起できるか、個々の権利・法律熊係に関する争いで法令の適用により終局的解決ができること(「法律上の争訟」裁判所法3T)にあたるかが問題となる。
↓ この点
国または公共団体が専ら行政権の主体として行政上の義務の履行を求める訴訟は、一般公益のための訴訟であり、自己の権利利益の救済を日的としていないので「法律上の争訟」にあたらず許されないのが原則である。
↓ しかし
行政主体が財産権の主体として自己の財産上の権利利益の救済を求めて提起する場合は、「法律上の争訟」にあたり許される。
↓ そうだとすれば
本問のA市の庁舎明渡訴訟は、庁舎の建替えのために行われており、A市が財産権の主体として起こす訴訟であり、「法律上の争訟」にあたるといえる。
(2) ↓ では
民事訴訟によるべきか、それとも公法上の当事者訴訟によるべきか。
↓ この点
いずれの訴訟によるべきかは、訴訟物が公法上の権利か私法上の権利であるかによって判断すべきである。
↓ そして
A市がXに対して主張するのは、建物の所有権に基づく返還請求権としての建物明渡請求権である。これは私法上の権利である、
↓ そうだとすれば
AX間の争いは私法上の法律関係についての紛争であるから、民事訴訟によるべきである。
(3) ↓ したがって
A市は民事訴訟で明渡しを求めるべきである。
以上


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ぎょうせいえんしゅう41

【41】
(1) Aは,法律に基づき行政庁に営業許可申請書を持参したが,行政庁の職員Bは周辺住民の同意書を提出するようにと指示して,申請書を返戻した。Aは,自宅に戻り弁護士に相談したところ,周辺住民の同意書を添付することは法律上要求されていないことが確認された。そこで,Aは周辺住民の同意書は添付しないので,直ちに審査して欲しい旨の内容証明郵便とともに申請書を行政庁に送付した。しかし,Bは周辺住民の同意書が添付されていない以上,審査できないという書面を同封して申請書を返送した。Aはその後も何度もBに審査を開始するよう催促したがBの態度は変わらず,1年が経過した。Aは,銀行から借りた営業資金の金利の負担も大きくなったため,法的手投を採ることとした。
Aはどのような法的手段を採ることが可能か。
(2) Cは主務省令の定めるところに従い,自宅のパソコンからインターネットを利用して申請を行い、行政庁の使用するコンピューターのファイルに申請が記録されたが、行政庁の担当職員は,多忙を理由として,プリントアウトすることなく放置していた。
Cはどのような法的手段を採ることが可能か。
〔素材は国T平成15年度必須問題〕


第41問 解答例
第1 小問(1)
1 不受理処分取消しの訴え、受理の義務付けの訴え(行政事件訴訟法3U・YA)について
取消訴訟、義務付け訴訟はその対象が「処分」(3U・Y)である必要がある。
↓ そして
「処分」とは公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められている行為をいうところ、行政手続法上申請についての受理概念は否定されており(行政手続法7)、不受理は、事実上の行為にすぎず、「処分」とは、いえない。
↓ よって
不受理処分取消しの訴えや受理の義務付けの訴えはできない。
2 不作為の違法確認の訴え(行政事件訴訟法3V)について
(1〉 Bに、Aの申請を審査し、許可・不許可の処分をする義務があるか。
↓ この点
申請が「事務所に到達したとき」は、行政庁は遅滞なく審査を開始する義務を負う(行政手続法7)。
↓ そして
「到達」とは、申請が物理的に到達し行政庁の支配領域に入ったことをいい、行政庁の受領の意思表示は不要とされるので(受理概念の否定)、たとえBが申請書を返送していたとしても、申請はBに物理的に到達している以上、Bは審査義務を負う。
(2) ↓ もっとも
Bは周辺住民の同意書を提出せよという行政指導をAに行っており、その説得の手段としてAの申請に対する応答を拒んでいる。
↓ かかる場合
Bは、審査をしないことが許されるか。
ア ↓ この点
行政指導は「任意の協力」で実現する必要があるが(32T)、説得を重ねることは「任意の協力」を促す行為であり、申請者が不服従の意思を明確にするまでは、応答を留保することができると考える。
イ ↓ そうだとしても
本問でAは「周辺住民の同意書は添付しない」旨の内容証明を送付しており、不服従の意思を明確にしている。
↓ よって
行政指導継続中を理由に応答を留保することはできない。
(3) ↓ 以上より
Bは直ちにAの申請に対し応答する義務を負うところ、1年以上も応答していない。
↓ そして
営業許可申請の返答に通常有する期間として1年もの期間は不要といえる。
↓ よって
「相当の期間」(行政事件訴訟法3V〉は経過している。
(4) ↓ したがって
Aは、Bが応答をしないことについて、不作為の違法確認の訴えをすることができる。

3 許可処分の義務付けの訴え(3YA)について
(1) Aは営業の許可を求めているのであり、Aは、前記不作為の違法確認の訴えに勝訴しても救済としては不十分である。
そこで、Aとしては、許可処分の義務付けの訴えを併合して提起することが考えられる(37の3T@・V@)。
↓ そして
(2) 周辺住民の同意書の添付は法律上要求されておらず、Aは申請の要件を充たしており、行政庁が営業の許可をすべきであることが「法令の規定から明らかである」(37の3V)といえるから、Aの訴えは認められる。

4 国家賠償請求(国家賠償法1T)
(1) 行政指導は、「任意の協力」によることが前提であるので、相手方が不服従・不協力の意思を明確にしたにもかかわらず、行政指導を継続することは、申請者の不協力が社会通念上正義の硯念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り、国家賠償法上「違法」であると考える。
↓ 本問では
Aの不協力が社会通念上正義の窮念に反するとの特段の事情はない。
↓ そうだとすれば
Aが不服従の意思を明確にしたにも関わらず、行政指導を継続し、申請に対する応答をしなかったことは「違法」といえる。
(2) ↓ そして
かかる「違法」により、Aは営業の開始が遅れ、営業資金の金利などの財産上の「損害」が発生している。
(3) ↓ よって
Aは国家賠償請求ができる。

5 不作為についての異議申立て、審査請求(行政不服審査法7)
AはBの不作為について異議申立てや審査請求ができる。

第2 小問(2)
1 インターネット申請においては、行政庁の使用するコンピューターに記録された時点で「到達」があったといえる(行政手続などにおける情報通信の技術の利用に関する法律3T・V)。
↓ なぜなら
行政庁が記録された申請を見るか否かは行政庁側の事情であり、コンピューターの記録があれば行政庁の支配領域に入ったといえるからである。
↓ そうだとすれば
行政庁の担当職員が申請を放置していることは、小問(1)と同じく、申請に対する応答義務を定めた行政手続法7条に反する。
2 以上より
Cは、不作為の違法確認の訴え、申請に対する許可処分の義務付けの訴え(行政事件訴訟法3V、YA)、不作為についての異議申立て、審査請求(行政不服審査法7)ができる。
以上

■合格者の目■
本問では採りうる「法的手段」が問われていることから、行政事件訴訟のみならず、国家賠償請求や行政不服審査請求についても言及する必要がある。その際に、どのような結果になることが必要なのか(金銭で解決すれば済むのか、行為を停止する必要があるのか等)という視点を持つことが問題解決には大切である。そして、複数争う方法を考えた場合には,求める効果との関係で、どの方法が最も有効・適切か、またそれぞれが矛盾しないか、検討する必要がある(平成19年新司法試験公法系のヒアリング参照)。

posted by あひるねこ at 11:00| ぎょうせい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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